第30回日本輸血・細胞治療学会秋季シンポジウム

ご挨拶

 この度、日本輸血・細胞治療学会の第30回秋季シンポジウムの主催を拝命致しました長井一浩でございます。このような栄誉を賜りましたこと、学会理事会はじめ関係の皆様方に深く御礼申し上げます。

 第30回学術総会は、2023年10月26日(木曜日)~27日(金曜日)の日程で、長崎市の出島メッセ長崎で開催を致します。長崎県における本学会の全国学術集会の開催は、2001年の秋季シンポジウム以来22年振りのこととなります。また、今回は、2023年度全国大学病院輸血部会議が佐賀大学を当番校として末岡榮三郎先生の御指揮のもと併開催されます。現在、各種委員会、関係の皆様方のご意見をいただきながら、有意義なプログラムとなるよう準備を進めております。

 第30回秋季シンポジウムのメインテーマを、「集合知としての輸血・細胞医療~DEJIMAから世界へ!~」と致しました。「集合知:Collective Intelligence」あるいは「集団的知性」とは、20世紀初頭、生物学研究にその萌芽を認める概念です。その後、社会学、教育学、経営学、情報科学といった多面的な研究や応用が進みました。(多少乱暴ながら)約めて述べるとすれば、「多様な個人で構成されるコミュニティにおいて、相互の協調と協働を通じ、より高次の複雑な思考、問題解決、統合、創造性を獲得する力」であると云えます。医療の分野においても、ICT技術の活用やチーム医療、医工連携といった取り組みは既に活発となっており、今後、AI技術の本格的導入やビッグデータの利活用等膨大な情報を基盤として、多様な人々が糾合し更に高次元の知識やスキルを獲得することが期待できます。このような観点から今回のシンポジウムでは、輸血・細胞療法におけるトレーサビリティー或いは災害医療における輸血部門の役割等をはじめとする多面的な課題について議論を深めて参りたいと思います。

 2020年3月に世界保健機関(WHO)がパンデミックとの認識を示して以降、長らく私達の健康をはじめ社会全体に大きな影響をもたらしてきた新型コロナ感染症も、2023年5月に感染症法上の位置付けが5類へと変更になりました。そこで今回のシンポジウムでは、この3年余りで学会の新しい有り様として定着したon lineのhybrid開催併用の利点を活かしながら、長崎の会場での開催を主軸とした各種プログラム・企画の準備を進めております。

 西暦1855年、ポンペ・ファン・メールデルフォールト先生がDEJIMAを門戸として来日、以後我が国の近代西洋医学が興ったこの長崎の地に、多くの学会員の皆様が全国からご参集頂き、闊達な議論を通して新たな連携と未来へ向けた知の種子が撒かれんことを切に希望致します。

 10月の長崎は、心地よい天候で野山も秋の彩り鮮やかな時期であり、様々な食の愉しみや史跡・景勝地も御堪能頂けるものと存じます。皆様のご来場、ご参加を心よりお待ち申し上げます。

第30回日本輸血・細胞治療学会秋季シンポジウム
会長 長井 一浩
独立行政法人国立病院機構長崎医療センター 臨床検査部

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