この度、第61回日本輸血・細胞治療学会総会を来年(平成25年)5月16日(木)、17日(金)、18日(土)の3日間にわたり、パシフィコ横浜で開催させていただく運びとなりました。
   今年2012年は本学会還暦の第60回記念総会でしたが、来年2013年は輸血療法にとって100年という大きな記念の年に当たります。
   1914年はアルゼンチンのAgote博士が血液にクエン酸を添加すれば体外保存が可能となり、静脈を介した安全な輸血療法を実施できることを実証した年です。この発明の素晴らしさは100年経ってもそれ以上のものが出てこないことで証明されています。
   その後の輸血療法の普及は目を瞠るばかりで、現在全世界で毎年8,500万人が血液を提供しているとのことです。中進国以下の多くの国々ではまだ血液事業の体制整備が不十分なことから、今後の需要はさらに増加すると思われます。
   わが国では日本赤十字社が血液事業を担当し、輸血用血液に関して国内需要をすべて献血で賄うことができています。
   血液の安全対策も世界で最も進歩しており、この分野については大変恵まれた環境が整っているということができます。
   このレベルに到達するまでに様々な研究成果が発表され、臨床に導入されてきました。本学会の多くの先輩方の学術的な貢献は素晴らしいものでした。
   しかしながら、医学の進歩は停滞することがありません。新たな知見や課題について会員の皆さんが大いに議論していただくよう望んでいます。
   本学会を実りあるものにするために、皆様が多数ご参加くださることをお願い申し上げます。

2012年8月吉日

第61回日本輸血・細胞治療学会
                          総会長 稲葉 頌一