第70回日本輸血・細胞治療学会学術総会

総会長挨拶

 第70回日本輸血・細胞治療学会学術総会を2022年5月27日(金)、28日(土)、29日(日)の3日間にわたり名古屋国際会議場で開催します。2021年の総会に引き続き、金土日の開催となっております。名古屋では1964年(橋本義雄先生 第12回)、1967年(藤浪修一先生 第15回)、1986年(木村禧代二先生 第34回)、1995年(神谷 忠先生 第43回)、21世紀に入ってからは2007年に髙本 滋先生(愛知医科大学)が第55回総会とISBT-AP(2009年)を、2010年には高松純樹先生(名古屋大学)が第58回総会を開催されて以来となります。松下の恩師である神谷、高松両先生に引き続いて本総会をお世話できることを大変光栄に思います。先輩諸氏が開催された総会を超える有意義な会になるよう、東海支部の先生方にもご協力頂きながら第70回学術総会の開催準備にあたっています。

 本学術総会のメインテーマは「輸血医療の発展と社会への還元 ~今、求められる輸血・細胞治療とは~」としました。輸血医療は国民に提供されるすべての医療に関わり、時には北里柴三郎の血清療法に代表されるように、未知の新興感染症の緊急的対処に関わってくるものを含みます。学会が社会に対して果たす使命はこれら以外にも多岐にわたりますが、本学会は輸血・細胞療法の分野において社会に対する貢献を高め、「患者にとって安全・有効な輸血・細胞治療とはなにか?」を追い求める目標を常に掲げています。諸先輩方のこれまでの努力により、輸血療法における血液成分・製剤の細胞学的、免疫学的検討から、臨床研究を基礎に、血液製剤の適正な使用の指針が本学会によりこれまで示されてきました。近年急激に発展しつつある細胞療法においては、血液細胞の採取、処理、保存、払い出し、輸注のすべての工程において安全で適正な手順策定を通じた高い品質を担保する責任が求められるようになってきました。このような決して派手ではない分野にも光をあて、社会と国民の健康に対して本学会として何が貢献できるかをメッセージとして打ち出すことができればと考えております。

 本学会の学術委員会はその規定において「学術集会(学術総会や秋季シンポジウム)の学術性と継続的な教育性を高めることを目的とする」としており、2022年からはこの観点に立脚し、学術委員会と現地実行委員会との良好なコミュニケーションのもと、筋の通った継続性のあるプログラム編成を目指したいと考えております。また継続的に頂いている国際委員会からのアドバイスのもと、会員の国際性をさらに高め、また2026年の誘致を目指しているISBTとの連携も視野に入れながら充実したプログラム編成を急ピッチで行っております。もちろん、会員の皆様の知的好奇心や探究心を満たせるようなシンポジウム、特別講演などの企画も続々と登場いたしますのでご期待下さい。

 5月末は名古屋名物の猛暑もなく、過ごしやすくなっておりますが、デルタ株の出現で暗雲立ちこめるパンデミックの状況を見据えハイブリッド開催の可能性も残しながら企画していきたいと考えております。この際は一般演題口演のみならずポスターセッションにおいても密集した環境を作らないような配慮を行いつつも情報交換を十分に行っていただけるようプログラムを工夫して参ります。ぜひ会員の皆様の積極的な演題応募をお願いいたします。

 学術総会で多くの知識を学んだ後は、近年全国区となった名古屋メシを本場にてご堪能頂き、名古屋での学術総会が実りあるものとなるよう多くの皆様の参加をお待ちしています。

第70回日本輸血・細胞治療学会学術総会
総会長 松下 正
名古屋大学医学部附属病院 輸血部