総会長挨拶

第65回日本輸血・細胞治療学会総会 会長
浅井 隆善(千葉県赤十字血液センター 所長)
 この度、第65回日本輸血・細胞治療学会総会を開催させていただくことになり、光栄に存じます。
 千葉県在勤者による開催は、昭和51年(1976年)に千葉大学第二外科の佐藤博教授のもとに第24回日本輸血学会が千葉県教育会館で開催されて以来、約40年余になります。また、千葉県内の会場では、平成8年(1996年)に、今回の会場と同じ幕張メッセ国際会議場で、第44回日本輸血学会が第24回国際輸血学会と同時に、順天堂大学の湯浅晋治教授のもとに開催されました。そして、平成17年には、東京慈恵会医科大学の星順隆教授により、浦安市舞浜で第53回日本輸血学会総会が開催されています。今回も、再び千葉の地に多くの会員諸氏が御出でいただけることを歓迎いたします。
 輸血の安全性に関する分野では、従来の感染症対策に加えて、新興・再興感染症対策に対しても幅広い検討が余儀なくされています。また、適正輸血やPBMに示される、患者さんのための安全な輸血については、現在の医療内容に即した対応を常に求められていますが、これらの対応は、医師や検査技師とともに、看護師にも3種類の認定制度が設けられて5年余を経過し、多くの専門家が参画した高いレベルの輸血医療が行われるようになってきています。これらをさらに高めるために、本総会が、必要な議論の場になることを望んでいます。
 一方、細胞治療の分野では、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植と複数の方法を用いてきた造血細胞移植に、本学会会員の多くが関わってきていますが、最近では再生医療における細胞処理、そして、iPS細胞の輸血医療への応用に対しても惜しみない努力が注がれています。このような環境の中で、細胞治療認定管理師制度が発足し、多くの方が認定されることになりました。本総会が、これらの方々にとって、細胞治療の発展についても考える機会になることを期待しています。
 今回の、総会テーマは「輸血・細胞治療の新潮流~世界を見据えて~」としました。房総半島の沖には黒潮が流れていますが、地球上の環境の変化を受けて、その流れを常に微妙に変化させながら、わが国に影響を与えています。このように、輸血・細胞治療の分野においても、諸外国の新知見を常に見据えることも必要と考えています。
 今回の会場である幕張メッセ国際会議場は、21年前の国際輸血学会に、諸外国からの多くの方々が訪れて熱い討論を繰り返した場所です。今回は国内学会ではありますが、当時に匹敵するグローバルな視野での討論も繰り広げられることを期待しています。
 開催期間は、夏至の直後であり、暑くなり始める季節ではありますが、全国からの多くの方々の御参加を、お待ちしています。




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