JSTMCT -第60回 日本輸血・細胞治療学会総会-

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ご挨拶

第60回 日本輸血・細胞治療学会総会の開催にあたって
「輸血と細胞治療~信の醸成と智の具現~」

 「輸血と細胞治療〜信の醸成と智の具現〜」のテーマのもとに、第60回日本輸血・細胞治療学会総会を開催するにあたり、更なる輸血・細胞治療学の発展を願い、御挨拶を申し上げます。
 第59回本学会総会は、3.11東日本大震災のため、開催中止を余儀なくされました。そのため、半田第59回総会長が周到に準備された各種シンポジウムなどの企画を引き継ぎ、いわば第59回+第60回として、第60回総会を準備してきました。会員の皆様方には一同に会して議論ができる機会と最新の世界と日本の輸血医学の情勢把握が提供できるように心がけました。
 日本で、輸血医学研究が学会活動としてまとまった形態をとるようになって60年という長い年月を積み重ねてきました。近代輸血医学は感染症との闘いの歴史であり、先達の英知によって、数多くの重症輸血感染症を克服して参りました。また他方、同種免疫との葛藤は、血液型の解明、取り違え防止の進化、白血球除去や放射線照射などで大きな進歩を遂げてきました。細胞治療の進歩は多くの患者に福音をもたらしています。しかし、日本は超高齢社会という未曽有の将来に向かって、血液の安定的供給に黄色信号が点滅し、輸血医療全体が揺るぎかねなくなって来ました。
 輸血医学は健康な献血者に支えられ、幾多の医学分野の成果が生かされ、最終的に多くの医療職種によって完成する、まさに総合医学です。認定輸血検査技師に加えて、自己血看護師、アフェレーシスナース、輸血看護師の学会認定も始まり、安全で信頼できる輸血医療へまた一歩近づいています。
 輸血医療と細胞治療分野において国民が信頼し合える環境を醸成し、未知への挑戦はわれわれ日本輸血・細胞治療学会の使命であります。福島県郡山市で復興を祈念しつつ、大いに語り合い、輸血・細胞治療と皆さまの発展に役立てていただけることを心から願っています。

2012年5月吉日

第60回日本輸血・細胞治療学会総会
総会長 大戸 斉
福島県立医科大学医学部 輸血・移植免疫学講座

大戸 斉