第68回日本輸血・細胞治療学会学術総会

総会長挨拶

第68回日本輸血・細胞治療学会学術総会 総会長
日本赤十字社北海道ブロック血液センター
紀野 修一

 第68回日本輸血・細胞治療学会学術総会を2020年5月28日(木)、29日(金)、30日(土)の3日間にわたり札幌コンベンションセンターで開催します。北海道では、1973年に葛西洋一先生(北海道大学医学部第1外科)が第21回総会を、1992年には関口定美先生(北海道赤十字血液センター)が第40回総会を、2004年には池田久實先生(北海道赤十字血液センター)が第52回総会を開催されており、今回が16年ぶり4回目の開催になります。これら3名の偉大な先生方が開催された総会を超える有意義な会になるよう、北海道支部一丸となって第68回学術総会の開催準備にあたっています。

 本学術総会のメインテーマは「持続可能な輸血医療・細胞治療をめざして -連携のあり方を考える-」としました。ご存じのように、輸血医療や細胞治療では、ドナーの善意で提供された血液や細胞をレシピエントである患者さんまで届けるために多くの人や組織・団体が関わっています。少子高齢社会に突入した今、若年献血者数の減少により将来の献血血液の確保が厳しくなること、また分娩数の減少により臍帯血公開数の維持が難しくなることが予想されます。新技術の開発でこれらの問題が解決される日が来るかも知れませんが、現状ではまだまだ先のことと思われます。したがって、少子高齢化で表在化してきた問題を関係者間で共有し、輸血医療・細胞治療が持続できる環境整備を早急に進めることが必須となります。

 このような観点から、今回の学術総会ではメインテーマに沿った企画として、1)輸血医療の将来像、2)造血細胞移植の将来像、3)再生医療の将来像について、関連する学会・組織・団体の中心的立場にある方々によるパネルディスカッションを行います。また、学会が保険収載を目指している輸血チーム医療に関する加算についても関係職能団体の方々の意見を伺う予定です。さらに「患者中心の輸血医療(PBM)」の海外での状況を知るために国際シンポジウムを行う予定です。その他、会員の皆様の知的好奇心や探究心を満たせるようなシンポジウム、特別講演などの企画も考えています。もちろん、一般演題口演やポスターセッションも情報交換を十分に行っていただけるようプログラムを工夫して参りますので、積極的な演題応募をお願いいたします(※)。

 5月末の札幌は、札幌の木であるライラックが咲きほこり、春から夏に向かう緑が目にまぶしいとても過ごしやすいシーズンです。学術総会で多くの知識を学んだ後は、北海道の雄大な景色と美味しいビールや食べ物を満喫してください。札幌での学術総会が実りあるものとなるよう多くの皆様の参加をお待ちしています。

※演題登録には、利益相反状態の申告に加えて、倫理委員会審査済であることが必要な場合があります。第68回学術総会から「学術総会への演題応募における倫理的手続きに関する指針」が適用されることになっています。詳細は学会ホームページからご覧下さい。