第22回 日本輸血・細胞治療学会 秋季シンポジウム
会長 佐藤 博行(長野県赤十字血液センター)


 この度、第22回日本輸血・細胞治療学会秋季シンポジウムを平成27年10月23日(金)に長野県軽井沢で開催させていただく予定となりました。長野県での本学会の開催は昭和52年に信州大学の野田金次郎先生が松本で総会を開かれて以来です。秋季シンポジウムとしては今回が初めてです。前日同所に於いて開かれる全国大学病院輸血部会議(信州大学下平先生主催)に引き続いて開催されます。

 軽井沢のある信州は山国です。遅い秋になるとアルプスに雪が降り、その純白の山嶺は、薄明の時に短時間ではありますが蒼く荘厳な姿を見せてくれます。修験者や登山家は未踏の峰を前に山の頂を見て谷や稜線を想像し、ルートを頭に描き、記録して準備を整えた後に初めての第一歩を踏み出します。一方、輸血医学に於いても患者さんを前に、状態把握から始まり、最適と思われる手続きをして記録に落とし、起こりうる可能性を想像して準備をした後に輸血をします。輸血を受けた体内で何が起こっているのかは未だ完全には明らかになってはいません。この神秘の領域を少しでも理解することが明日の輸血医学への道に繋がっていると思います。この神秘の領域を「蒼き山嶺」に例えて本シンポジウムのテーマとしました。内容については2本立ての内容と致しました。即ち、輸血及び細胞治療で人体に起こる神秘に迫るサイエンティフィックな内容と、献血から輸血までの工程で、実践者としての医師、検査技師、新たにスタートした認定看護師の方々に求められる内容に致しました。

 会場の軽井沢は標高約1000mの高原にあり、東京から新幹線で約1時間の道程です。木漏れ日溢れるカラマツ林の中の静かな別荘地である一面、美術館や音楽ホールに恵まれ、文人墨客の愛した町でもあります。シンポジウムが開かれるのは晩秋の紅葉の候、山のきのこやリンゴ、新蕎麦など、一番美味しい季節でもあります。今回のシンポジウムでは前夜(10月22日)に会員懇親会を開催することに致しました。高原の味覚を堪能しながらの意見交換の輪が拡がることと思います。朝夕は5度近くに冷え込むことも予想されますので暖かい服装をご用意下さい。多くの会員の方々のご参加を心よりお待ちしております。