第67回日本輸血・細胞治療学会学術総会

総会長挨拶

第67回日本輸血・細胞治療学会学術総会 総会長
熊本大学病院 輸血・細胞治療部
米村 雄士

 この度、第67回日本輸血・細胞治療学会学術総会の会長を務めさせていただくことになりました。会期は、2019年5月23日(木)、24日(金)、25日(土)の3日間、会場はホテル日航熊本、くまもと県民交流館パレア、鶴屋ホールでの開催を予定しております。

 学術総会のポスターは、私が美術鑑賞を趣味としていることから、熊本大学教育学部美術科の松永拓己先生に水彩画で描いていただきました。ポスターには、以下の3つのメッセージを込めて表現していただきました。
1. ローマ神話の医療の女神『ミネルウァ』は、最近の輸血・細胞治療分野での、看護師、検査技師、医師の女性の活躍を表しています。
2. 樹木を造血幹細胞に見立て、赤血球産生を表現、知恵の象徴であるフクロウは造血幹細胞から種々の細胞を産生する無限の能力を表しています。
3. 赤十字のマークは、熊本が西南の役に発する日本赤十字の発祥の地であること。さらに、熊本地震からの復興の象徴である熊本城を描いています。

 さて今回の学会のテーマは、『最良の輸血・細胞治療をめざして:次世代へのメッセージ』とさせていただきました。日本輸血学会の誕生は、1952(昭和27)年6月に、日本血液銀行運営研究会として発足し、翌年3月に、第1回日本輸血研究総会が、加藤勝治先生(東京医大)を会長として東京大学で開催されました。1954(昭和29)年4月には、日本輸血学会が正式に設立され、清水源一郎先生(大阪大学)が会長のもと大阪大学で第2回日本輸血学会が開催されました。それから65年経て、今回初の熊本での学会開催となります。日本輸血・細胞治療学会学術総会と名称も一部改称され、尚一層学術的な側面を総会に出していかなければならないと思っております。学会への参加者数は毎年増加し、3年ほど前から参加者数が3,000名を超えるような学会となっており、今回も多くの皆様に熊本に来ていただければと思います。

 最近、当学会が中心となり『科学的根拠に基づく輸血のガイドライン』を策定し、それを参考にして厚生労働省も『血液製剤の使用指針』を改定しました。しかし、それらの臨床現場への浸透は十分とは言えず、今回の学術総会でその役割を果たしていけたらと思います。また、造血幹細胞移植療法はもちろん、今後急速に伸びていくと思われるCAR-T細胞療法などをはじめとする免疫細胞療法や、再生医療やiPS細胞を様々な治療に応用する技術など、輸血・細胞治療学会にふさわしいテーマに絞ってシンポジウムを開催したいと思います。

 最後に皆様には、熊本地震から力強く復興してきている熊本城、水前寺公園、阿蘇、天草などを見ていただければと思います。また、食べ物は、馬刺、赤牛ステーキ、車海老、からし蓮根、熊本ラーメン、球磨焼酎、菊鹿ワインなど多くの名物がありますので、可能な限り学術だけでなく熊本の街も楽しんでいただければと思います。本学術総会が、学術的に充実し、かつ、様々な点で参加者全員に満足していただけるよう、現在、プログラム企画委員会、学会事務局、運営事務局一同、鋭意準備を進めております。数多くの皆様のご参加をお待ちしておりますので、よろしくお願い申し上げます。